本年4月1日より、当センターの理事長に就任しました藤井です。
これまでの当センターへのご支援やご協力に感謝申し上げますとともに、今後もご指導やご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
住宅の長寿命化をはかり、機能や価値を保全し、住み継ぐことの重要性が再認識されつつあります。そのためには、住宅を定期的に点検・診断し、その診断の履歴を蓄積することが重要です。それによって維持管理が適切にでき、リフォーム時のコスト削減や売買における価値評価が実現します。
本来、これらの流れは住まいの基本であり、これは住宅とそこでの暮らしを大切に考えることを前提としています。日本人は古来、住宅と暮らしを大切にしてきたのですが、高度経済成長期を経て、住宅の供給構造が大きく変化し、住宅が寿命の短い消費財のように扱われるようになり、日本人の住まいに対する考え方が大きく変わってしまったようです。この間、住宅産業は成長しましたが、それとはうらはらに住み継ぐ習慣が崩れ、そのための技術の整備や人材の育成は立ち遅れた感があります。
(一社)住宅長期支援センターでは、住宅履歴の蓄積・管理・活用事業「登録住宅いえかるて」に加えて、住宅メンテナンス診断士の育成を 2003 年から開始し、これまで多数の登録者を輩出してきました。住宅メンテナンス診断士は、国交省の既存住宅インスペクションガイドラインに沿った住宅の診断技術を基本技術として習得し、特に木造戸建て住宅の維持管理では必須となる木部の劣化(腐朽・蟻害)や外被(屋根や外壁)の劣化診断技術を習得しています。
また住宅メンテナンス診断士は、正確でわかりやすく、活用しやすい診断結果の蓄積や報告書の書き方も学んでいます。さらに劣化や不具合の原因を明らかにすることや、対策に関するアドバイスの方法の他、責任をもって診断にあたることの重要性も学んでいます。診断士の資格取得後、スキルアップ研修会を受講し、実務経験を積んで頂くと、上位資格である住宅インスペクター🄬への途も開かれています。
(一社)住宅長期支援センターのこれらの活動は、住宅を住み継ぐ時代に向けての重要な営みであり、その実現に向けて日々努力しています。関係各位の、ご理解、ご協力と参画をお願い申し上げます。
なお末筆ながら、当センターの前理事長 東樋口護(公立鳥取環境大学名誉教授)先生におかれましては、3月上旬にご逝去されました。先生のこれまでの当センターへのご尽力に深甚なる感謝を申し上げますとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
一般社団法人 住宅長期支援センター
理事長 藤井 義久